promotion
海外でも人気のある「和食」のホームベースである日本は、食文化の豊かな国として世界の人たちに知られています。当然食に関わる表現や単語の数は多く、外国語で日本の食について語ろうとすると、うまく外国語に翻訳できないことも多く、もどかしい思いをすることがあります。
今回はそんな食にまつわる表現の違いについてご紹介してみようと思います。
EIKARAは「あなたの英語学習の手助けになりますように」という願いが込められた総合英語ポータルサイトです。重要英文法(「やり直し中学英語文法」)の解説から、TOEIC対策、留学情報まで、英語に関する幅広い情報を日々発信しています。編集長を務めるのは自身も留学経験のある松原哲平。読者の皆さんの役に立つ情報を発信できるよう監修を務めています。詳しくはEIKARA会社概要/監修者情報をご覧ください。
<目次>
魚介類にまつわる単語は日本語が圧勝!
世界中のどの国よりも、日本人は多くの種類の魚介類を食べていると言われています。ですから当然とも言えるのですが、魚介類を示す単語は圧倒的に日本語の方が多く、英語で表すことのできない魚介類はたくさんあります。
例えば貝で言うならアサリもハマグリも”Clam”ですし、魚だとアジやサバは”Mackerel”と呼ばれます(鯵はHorse Mackerelと区別される場合も)。また、出世魚といわれるブリは、成長段階によって「イナダ→ワラサ→ハマチ→メジロ→ブリ」と呼び名が移り変わり、日本人でも同じ魚だと知っている人は多くないのかもしれませんが、英語だと当然こうした呼び分けはなく、すべて”Yellowtail”です。
ちなみに海草類の名前を表す単語も、英語だと通常”seaweed”や”algae”くらいしかなく、わかめも昆布もメカブもその他すべての海藻も、全てこれ二つ。まあ、英語圏の方々は海草類をあまり食べないというイメージがあるので、一般人が海藻の名前を知る必要もないのかもしれませんが、ちょっと寂しいですね。
調理法でも、やっぱり日本語の方が語彙が豊富
食材だけでなく、調理方法についての表現も日本語の方が豊富です。例えば揚げ物を指す言葉は英語なら”Deep fried”になりますが(ちなみに”fried”は炒め物を指します)、日本語で言うところの唐揚げも、フライも、竜田揚げもぜーんぶこれ一つ。ちなみに天ぷらは “Tempura”。英語になっています。また、おろす(大根おろし)、する(すり鉢)なども”grate”という単語で一つで表されます。
一方、英語にも似たような単語はあるのですが、感覚的に何となくどれもしっくり来ない・・・というような調理用語もあります。例えば「和(あ)える」は”mix”や”toss”、”dress”がありますが、いつも迷います。「漬ける」も”marinated”や”soaked”、”dipped”などの単語がありますが、どれもその時に表現したいことにしっくり来る気がせず・・・です。「締める(お酢で)」に至っては”Kobu-jime”などと英語化した方が面倒でなくて良い気もします。
こうして和食のつくりかたを英語で表現しようとするたび、和食の調理法の多さを改めて実感するのです。
山ほどあります。日本語だけにある「擬音」!
もともと日本語は擬音が多い言語だと言われていますが、それは食をめぐる場面でも変わりません。特に、似ているんだけどそれぞれ微妙にニュアンスが異なる「ヌルヌル、ネトネト、ネバネバ、ネチャネチャ、ベトベト」などは英語で表現しようと思うと、”sticky”、”slimy”くらいしか思い浮かばず、ほぼお手上げです。
また、「モチモチ」や「トロトロ」「フワフワ」といった微妙な食感を表現する擬音も、英語にするのは難しい。これは外国人にまずこの食感のものを食べてもらって、「それが『フワフワ』と言うのよ!」と教えてしまった方が早いのでは?とすら思います・・・。
英語にしかない食の表現もある!
やっぱり食に関する言葉は日本語の方が圧倒的に豊富だ!、とここまで読まれた方は思うかもしれません。確かにそれはそうなのですが、公平を期するために日本語で表現するのが難しい、食にまつわる英単語もいくつかご紹介しておきましょう。
一番に思い浮かぶのは「辛い」にまつわる英語です。代表的なものは、”hot”、”spicy”、”dry”の3つです。”hot”は唐辛子のような辛さを表します。味に奥行きのある辛さというよりは、メキシコ料理のように乾いた辛さです。一方”spicy”は文字通りスパイスの利いた辛さで、インド料理のように辛い中にもいろいろな風味が感じられるような辛みを表現する時に使います。最後の”dry”は「ドライ・マティーニ」のように食べ物というよりは飲み物に使う「辛い」の表現です。
また、”chewy”という表現も日本語の食事の場面ではないので、なかなか訳すのが難しい単語です。例えばピザ生地のように「モチモチした」という時にも、スルメのように「歯ごたえがある」時にも、シリアル・バーのように「ニチャニチャした」という時も、讃岐うどんのように「腰のある」という場合にも使います。要はたくさん噛むことが必要な食べ物を表すのですが、味わい深いというニュアンスも含んでいて、なかなか日本語で一言で言い表すのは難しい単語なのです。
終わりに
英語と日本語で、食を表現する語彙にここまでの違いがあるのは、とりもなおさず二大英語圏であるイギリスとアメリカの食習慣・文化が、日本のそれと全く異なるということでもあります。
というわけで、やっぱり外国人に英語で和食を説明するのは大変。いにうまく説明できるようになるかが、もしかしたら英語上達のバロメーターかも(!?)しれませんね。