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子どもの英語学習について調べていると、頻繁に出会うようになってきた学習法であるフォニックス。「発音が良くなる」・「読み書きにも役立つ」等々、いろいろなメリットが取り上げられ、次第に認知度も上がってきましたが、具体的には、何をどのように学ぶものでしょうか?
フォニックスは、幼児英語〜大人の再チャレンジ英語への応用まで幅広く活用でき、教材も良いものが様々に出揃っているため、子どもたちと保護者の方が一緒に楽しみながら、家庭で簡単に取り組みやすい分野だと思います。
本日は、幼児期からの英語の導入として一押しの学習法フォニックスについて、詳しくご紹介してまいります。
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<目次>
フォニックスとは
フォニックスとは、英語圏の子どもたちが幼稚園の頃に、読み書きの導入として、スペリングと音声の規則的な関係を覚えていく学習法のことです。英語のアルファベットは、ご存知のように全部で26文字ですが、英語を構成している音は44音あります。
フォニックスでは、26文字のアルファベットをどのように組み合わせて、この44音を表すかについて学んでいきます。つまり、<フォニックス>=英語の”音”についての「あいうえお」表のようなものだと言うことができるでしょう。
フォニックスの種類
ちょっとマニアックな話になりますが、実は、フォニックスには、以下の2種類があります。
2.アメリカで主流のアナリスティック・フォニックス(analytic phonics)
それぞれ、一長一短があり、第二言語習得に応用する場合、どちらがいいのかについては、様々な意見があります。
【シンセティック・フォニックス】:音を聞いて⇒単語を理解する。(音優位)
主に、単語の綴りなどをまだ書けない段階から導入可能であり、より”音”の単位にフォーカスした学習法で、英語圏では、学校で4歳くらいから1年かけてじっくり学びます。ドイツなど外国語として英語を学んでいる国でも、この方法で教えられている事が多いようです。
【アナリスティック・フォニックス】:単語を見て⇒音の理解に結びつける。(視覚優位)
もともと多くの単語の綴りを知っている人により向いています。既に知っている”単語”をもとに、推測や暗記をして、日本でも従来のフォニックス学習法のことです。覚えることが多く、音と綴りの関係を多くの語から抽出しながら見ていくため、英語学習を始めたばかりの日本の幼い子どもたちの導入期には、あまり時間的に効率のいい方法とは言いにくいようです。
どちらがいいの?
これらは、あくまで学習の”方法”であり、理論より実践によって理解し、アウトプットに結びつけていく事こそが大事なので、自然と両方を使いこなしていく事が望ましいため、どちらが優れているという事はありません。
私自身は、大人で、すでに英語を沢山知っているため、あまり深く考えたことはないものの、単語を思い浮かべて、自分自身で発音を正しくすることに意識を向けた時にしか、シンセティック・フォニックスの出番はないように感じます。
逆に、英語学習の初期の段階で、音優位の年齢の幼い子どもたちが保護者の方と一緒に取り組みやすいという点では、格段にシンセティック・フォニックスの方がおすすめできるのではないかと考えています。
ただ、英語圏の子どもたちと異なり、日本の子どもたちは、英語の単語を聞いて英語らしく発音でき、さらに読むことができたとしても、それが何を指すのかはわからないため、同時に単語力を上げるフォローが必須なのは言うまでもありません。
そういったことを考えていくと、第二言語としてのフォニックスは、シンセティック・フォニックスをベースに学んだ後、それぞれの子どもの英語発達に応じて、適宜どちらも組み合わせたような形に自然となっていくのではないかと思います。
フォニックスの学習法
それでは、具体的に、導入段階のシンセティック・フォニックスの手法を少しご紹介してみます。
日本語では、必ず、’母音(vowels) + 子音(consonants)’のセットで音を作り出すため、普段、日本語を母語として話している方は、「子音だけを分離して意識する」ということをあまり意識することがありませんが、英語では、母音も子音も、それぞれがひとつひとつの”音”として存在しています。
まず、この違いに注目してみましょう。
『(“apple”や”ant”の)”a”の音は、”a”と書く』・『(”girl”, “dirt”の)”ir”は”ir”と書く』・『(”tennis”, “tea”の)”t”の音は”t”と書く』という風に、最初から音を聞いた後、母音子音それぞれに対応するアルファベットを覚えます。
(この方法を進めていくと、”au”・”ou”・”ai”などの二重母音についても、音を聞いて、スペリングが浮かぶ状態になります。)
例えば、sat, suck, sirなど、英語では、すべて違う音なのですが、日本語では「さ(ー)」という音ひとつに置き換えられてしまいますね。
フォニックスを学習するときには、まず、これらの単語をセグメンテーション(分解)と言って、”s-a-t”,”s-u-ck”, “s-ir”というふうに、小さな音の単位に分けてみていきます。そうすると、3種類の「ア」の区別がきちんとされ、子音である”t”, “s”, “ck”についても、日本語の「ト(to)」「ス(su)」「ク(ku)」のような母音とセットになった音にならずに、一つずつ発音されます。
ここで、さらに“cat”, “mat”, “bat”/“tuck”, “luck”, “stuck”/“stir”などの単語を見せると、子どもたちは、”c-a-t”, “m-a-t”,”b-a-t”/ t-u-ck”, “l-u-ck”, “st-u-ck”/“st-ir”のように、同じように分けて、単語を正確に読める状態になっています。
音を聞いて、小さな音の単位に分け、それぞれのアルファベットが出てくるようになれば、シンセティック・フォニックスをしっかり理解できていることになります。
また、書くことについても、頭の中の一つずつの音とアルファベットを組み合わせて、8割近く正確に綴れる仕組みになっています。
こちらの方法を使った有名な教材は、イギリスの小学校で使用されているJolly phonicsシリーズや、Oxford Reading Treeのキッパーシリーズなどがあります。
フォニックスの効果
音声への柔軟性の高い子どもたちにとって、フォニックス学習は、「音/文字と音との関連性」への意識付けを行うことで、効果的に発音及びリスニング力の向上の基盤を作ってくれる効果的な方法だと言えますね。さらに、読み書きのブースターとなって、語彙・表現獲得も一気に叶えてくれる、まさに一石二鳥の学習法だと思います。
幼少期の言語習得の黄金期であっても、日本の子どもたちは、やはり圧倒的に英語を耳にする機会が少ないのも事実です。英語には、日本語では使わない舌や筋肉の動きが、たくさん存在していているので、フォニックスを学んで、意識的に舌や口の筋肉をトレーニングすることは、発音を良くしたり、今後さらにリスニング力を高めていくのに、とても大切なことですね。
終わりに
いかがでしたか?
ぜひ、多くの子どもたちが耳が柔軟で、時間のある幼少期に、フォニックスを楽しみながら、英語にゆっくりと慣れていってくれたらと願っています。