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<目次>
crackの意味や発音・アクセント
crackの意味
crackは、「ひび」を意味する言葉が基本で、そこから派生して色々な意味を持つ言葉です。「破る」「割る」「折る」という意味のbreakと似ており、そうした意味も持ち合わせていますが、すべて「ひび」が入ることから起こる事象を表すことをイメージしておくと良いでしょう。
名詞としてのcrack
「ひび」「割れ目」「亀裂」「欠け」として、言葉通り何かの表面にひび割れがあったり一部が破損して欠けている現象を表しています。
また、そのイメージから「チャンス」「試すこと」「精神的な欠陥」「新しい情報」などの比喩的な意味もあります。
また、パキッと言う音や金属バットでカーンとボールを打つ音などの鋭く叩くような擬音を表すこともあります。麻薬のcocaine(コカイン、英語の発音はコケィン)は粉状ですが、その一種であるcrack cocaineは通称crackと呼ばれます。クリスタルのような塊であるcrackを、吸引のため炎であぶり液状にする時にパキパキとひび割れるような音がなることから、こう呼ばれるようになったそうです。
動詞としてのcrack
「ひびを入れる」「ひびが入る」「(殻などを)割る」「(殻などが)割れる」「破る」「破れる」「裂ける」「ピシッという音が鳴る」「ピシャリと打つ」「鋭い大きな音を出す」という自動詞・他動詞それぞれたくさんの意味があります。その動きから、さらに「(建物や窓を壊して)押し入る」「(金庫や暗号などを)破る」「(事件などを)解決する」という意味まで持ちます。過去分詞形でcrackedとし形容詞的用法を取ることもあります。
crackだけだとひびが入るまでですが、upを加えるとcrack up「割れてバラバラになる」「崩れる」、そこから転じて「大笑いする」という意味になります。
形容詞としてのcrack
crackは、「一流」「凄腕」という意味の形容詞として使われる場合があります。また、スラングとして「最先端」「楽しませる」「(娯楽として)面白い」などの意味で使われることがあります。
crackの発音・アクセント
クラァクという発音になり、クの部分は母音をあまり強く発音せずkの音だけ短く、ラァの部分は舌をどこにも着けないrの発音を意識し、母音のァは口を日本語のアとエの中間のような形に作って声を出します。最後のkも母音を発音しない無声音なので、口はラァの発音の時に開いた口の形をあまり変えずにを少しだけ小さくしリラックスして保ち、小さくクッと空気だけ短く口の奥から出すイメージです。アクセントはラァの部分に強く置きます。
crackを使う時の具体的なシーンや含まれるニュアンス
ひび、ひびが入る、など言葉通りの意味で使う場合
名詞としてのcrack
crackの基本の意味は「ひび」「ひび割れ」で、衝撃などによって入ったひびや、元々自然にある裂け目・割れ目のことを差します。壁にひびが入っていることをThere is a crack in the wallと表現したり、岩の裂け目のことをcrackと呼んだりします。
また、「ピシッという音」を表すことから、「バシッと叩く」ことをgive a crack、逆に「叩かれる」ことをget a crackという事もあります。
動詞としてのcrack
シンプルな元々の意味のcrackには「ひびを入れる」「ひびが入る」と、自動詞(~を/に、という目的語を必要としない)と他動詞(~を/に、という目的語を必要とする)両方の意味があり、衝撃によりひびを入れることまたはひびが入ること、またそのひびをこじ開けるように開けることをイメージして使います。
「ひびが入る」という自動詞のcrackは、It cracksというようにひびが入る物本体を主語として「~にひびが入る」「~が欠ける」と表します。
一方他動詞は、衝撃を与えたうえで割ったり開けることに使います。代表的な物は料理をするために卵を割る動作で、crack an eggと言います。crack the doorと言うと、ただドアを開けるのではなく鍵がかかっているドアをバールか何かを隙間に入れてこじ開けるようなニュアンスが含まれます。
またcrackはしばしばopenを伴ってcrack openと言います。先ほどのeggの例もcrack open an eggと言うことがありますし、ココナッツやくるみなど殻にひびを入れた後そのできたひびからこじ開けるようなものにもcrack openをよく使います。
実際ひびを入れるわけではありませんが、密封されているものの一部に力を加えてこじ開けるイメージから「栓を抜く」という意味で、瓶ビールをあけることをcrack a beerまたはcrack open a beerと言ったりもします。
これらはすべて、あくまでも亀裂や小さなひびのような破損を作りその部分から開ける、というのが前提で、壊してしまったりいくつもの塊にバラバラに割ってしまう場合にはbreakを使います。ただし、バラバラに崩す、という場合はcrack upと言うこともできます。
さらに、「大きな音を立てる」という意味もあることから、大きな音を立てて何かを打ったり強く叩くという場合や、銃を撃ち放すという意味でも使うことがあります。
形容詞としてのcrack
欠けたりひびが入った状態のものを動詞を過去分詞した形容詞的用法でIt’s cracked「それはひびが入っている/欠けている」と表したり、~ingの形でcracking noise「(音が割れる時の)パキパキという音」などと言う事ができます。
比喩として使う場合
名詞としてのcrack
crackは、物理的な、目に見える、あるいは聞こえるものだけではなく、人間関係や理論のように目に見えないものに入るひび、亀裂、ほころびという意味でも使うことができます。
I see a tiny crack between you and him「君と彼の間にはほんの少しひびが入っているようだ」、He spotted a crack in our claim「彼は私たち主張にほころびをあることを指摘した」というようなシチュエーションで、比喩的に表現します。
またcrackは、ほころびがあるというイメージから、精神的な欠陥や、精神に異常をきたしている人のことを指すスラングでもあります。He has a crack in his head「彼は頭にひびが入っているよ」という表現はイメージは沸きやすく、仲間内などでは使っても良いのですが、人の事を指すのはあまり良い表現ではないので控えたほうが良いでしょう。
動詞としてのcrack
「割れる」というイメージから、crack upで「崩れる」、そしてそれが転じて「大笑いする」という意味があります。日本語でも、固い表情から一転して笑うことを「相好を崩す」「破顔する」という表現をしますね。英語の場合もよく似ていますが、思わず吹き出して大笑いするというニュアンスがあります。誰かの思わぬジョークや行動で、That cracked me up「思わず吹き出しちゃったよ」というふうに使います。
ひびがはいってパリッと割れかけているイメージからは、声がうわずったりかすれたり、不安定に震えることをcrack one’s voice「声をうわずらせる」、one’s voice is cracking「声がかすれている」というニュアンスを表現することもできます。声は、shaking「震えている」と表すこともありますが、crackは細かく震えているというよりも、もっと何らかのダメージによって声が影響を受けているようなニュアンスです。
また、物理的に実際手や道具でこじ開けるわけではないけど、「ひびを入れてそこからこじあける」イメージで、crack a safe「金庫を破る」、crack the code「パスコードを破る」、crack a secret coded message「秘密の暗号を解読する」という表現もよく使われます。同じニュアンスで、圧力や脅しなどにより固く閉ざされていた口から秘密や真実が洩れることを人+crackで表現することもあります。閉じ込められていた物がひびが入ったことにより漏れ出すようなイメージです。
形容詞としてのcrack
非常に優秀な、何かに秀でた人の特徴を説明するのに使うことがありますが、crackは古くは「声高に自慢する」という意味もあったようで、動詞の「鋭い大きな音を出す」から、その名をとどろかす、という意味でほめる時の形容詞となったと言われています。
また、ピシッと仕事を手早く片付ける、というようなイメージの言葉になったとも考えられます。このcrackには、どちらかというと肉体的に訓練して鍛え抜かれている、という意味での「凄腕」「腕利き」というニュアンスがあるようで、a crack sniper「一流の狙撃手」というような使われ方をします。学者や芸術家などにはあまり使われないようです。
芸術的な意味で誉め言葉としてcrackを使うと、少し意味が変わり、「面白い」「楽しませてくれる」「斬新」というニュアンスになります。例えば何かパフォーマンスを見てその斬新さとエンターテイメント性に感動した時に、That was absolutely crack!「今のはとても面白かったね!」というふうに使います。
crackに関してよくある勘違い
crackにはそもそも非常にカジュアルな響きがあり、本来の「ひび」「裂けめ」という意味以外で使う場合は、ほぼカジュアルな口語またはスラングです。ネイティブ・スピーカーが話しているのを聞くとしばしば耳にするので、それを過剰に真似して、他の言葉でも良いのにcrackを選びすぎないよう気を付けたいものです。
ネイティブ・スピーカーがcrackという言葉を使っている時、かなりの確率で、ドラッグのクラックについて話しているか、お尻の割れ目や女性の股の割れ目など性的な意味を表していたり、精神的に異常をきたしている人のことを話している場合があります。彼らにとってcrackという言葉の印象は、たとえそういう意味で使っていなくても、どことなく少し品のない響きに受け取っており、こちらはまったくそういう意味で言っていないのに、言葉尻を捉えて下品なジョークで返して来られることもあったりします。音の持つカラーとしては、洗練された意味や響きというよりは、俗っぽい雰囲気やバン!ドン!という荒い音のイメージが強いのです。
英語は音やリズムを大事にする言語です。自然な英語表現や英語での会話に慣れていない人は、crackを「ひび」「割れる」と日本語に置き換えて認識して使っているため、その言葉の持つ響きのイメージに敏感ではないのですが、ネイティブ・スピーカーはその言葉が持つ音の響きを敏感にとらえており、頭では相手が何の問題もない意味の言葉で使っているとわかっていても、無意識のうちにその言葉が持つ様々なイメージを音と共に頭のどこかで思い描いています。その回数が多いと、そのイメージがそのまま話し手のイメージと重なり合いかねません。
crackにはそういう幅広い意味があり使い方に気を付けなければならないことを理解して、必要以上に多用しないほうが賢明でしょう。しかし逆にきちんと使い分けさえできれば、とても便利でこなれた表現ができます。
crackをビジネスやメールでも使える表現に言い換えると?
ひび、ほころび、欠陥
crackと言ってもそれほど問題はありませんが、少しカジュアル過ぎるのでflawを使うと良いでしょう。
吹き出させる
ビジネスでこういう話をするということは和やかなシチュエーションということなので、crack someone upと言ってもかまいませんが、よりフォーマルな言い方をするとすれば、make someone laugh hardになります。
押し入る
強盗などが「押し入る」「強引に割って入る」は、通常break intoを使います。
解読・解析する
Solve「解決する」、find an answer to「答えを見つける」、puzzle out「謎を解く」、interpret/translate「訳する、解釈する」、decode「暗号化されたものを解読する」、decipher「判読する、解釈する、読み解く」、straighten out「問題を取り除く、もつれをほぐす」など、状況に応じて適切な単語、フレーズを使い分けましょう。
crackを活用した例文・会話文
The cracks spread from the hole across the window.
ひびはその穴から窓全体に広がっていた。
I heard a loud crack of thunder last night.
昨夜大きな雷のガラガラ!という凄い音を聞いたよ。
After many hours of interrogation, the spy finally cracked and truth came out.
何時間もの尋問ので、そのスパイはついに口を割り真実が明らかになった。
A: I was kinda feeling down earlier, and Jay suddenly made this super funny face and that cracked me up.
さっきまでちょっと沈んでたんだけど、ジェイがいきなりめっちゃ面白い顔して、もう吹き出しちゃったわ。
B: I know. That’s his thing. That cracks us all up always.
わかるよ、彼はよくやるんだ。みんないつも大爆笑さ。
A: Have you heard about the new dress code at work? We are going “business casual” from now on.
新しい職場のドレスコードのこと、聞いた?これからは“ビジネス・カジュアル”でいくんだってさ。
B: I know… What the hell does “business casual” mean actually?
そうなのよ…。そもそも“ビジネス・カジュアル”って何なのよ?
A: Let’s ask Angela for a tip. She is the best dresser here and she may know how to crack the code.
アンジェラに教えてもらいましょ。彼女のセンス最高だし、きっとビジネス・カジュアル・コードの攻略法を知ってるはずよ。
crackを応用した表現まとめ
have a crack at ~
「~を狙う」というようなニュアンスで、何かに挑戦したりゴールに向かうことを指すカジュアルな表現です。
cracking
「きわめて」「超」という意味の副詞として使うこともあります。
crack a joke
「ジョークを言う」「軽口をたたく」という慣用句です。人のミスなどをからかって冗談を言う場合にも使われます。
crack down
「厳しく取り締まる」という意味と、「(鞭などで)ピシャリと叩く」という意味があります。
crack on
「何かを始める」という意味。「取り掛かる」というニュアンスでget crack onと言うこともあります。あざ笑う、バカにするという80年代~90年代頃に使われた古いスラングでもあります。
crackhead
「クラックを使いすぎて中毒になっている人」、またはそのせいで「精神的に正常を保っていない人」を指すスラングです。
What’s the crack?
アイリッシュ・スラングで「最近どうだ?」という意味です。「何か新しい事ないか?」という意味のWhat’s going on?What’s new?が「最近どう?」というあいさつになるのと同じニュアンスです。
crackとbreakのニュアンスの違い・使い分け方
どちらも、物理的な物や非物理的な物に衝撃を与えたり手を加えることで傷をつけたり破る意味があります。
物理的には、crackはひびにとどまり、完全に壊したり砕いてしまったり2つ以上の塊に切り離してしまうことはありませんが、breakは、ひびだけにとどまらず壊したり破ったりするという意味を持ちます。
ところがcrack upとbreak upはどちらも、「崩壊する」「衝突する」「大笑いする」という意味に変わります。ちなみにbreak upは、「分散する」「別れる」「争いを止める」という意味も持ちあわせますが、crack upにはこうした意味はありません。
また、前に説明した通り、crack the doorは完全にドアを開けてしまっており、日本語では「ドアを破る」と訳されます。同じような状況をbreak the doorで表してもかまいません。ただし、crackは、ドアをこじ開けるイメージでドアそのものは壊しませんが、breakはドアを蹴破って壊してしまうことも含みます。
「暗号を破る」もcrack a code、break a code両方の表現が当てはまりますが、crackは解読するという意味合いが強く、breakは突破するニュアンスです。
ちなみに、骨折も骨にひびが入ることも、英語ではfracture(動詞・名詞)、骨折又はひびがはいった個所の状態をfracturedと言います。厳密に言う場合は、ひびだけ入って折れてはいないことを表すにはcrack/cracked、折れてしまっている場合はbreak/brokenとなります。
crackの類似表現一覧
名詞
gap
「すき間」「裂けめ」「ずれ」。岩の割れ目などの意味ではcrackと同じですが、gapは時間的なすき間や認識の微妙な差なども表します。
flaw
物理的な「割れ目」「ひび」「傷」も、理論や技術などの「欠陥」「欠点」「落ち度」「不具合」なども意味します。
動詞
break
人に圧力をかけるなどして、信念を曲げさせたり秘密をばらさせることを表現します。
bang
バン!と音を立てて打つ表現です。似たような使い方をしますが、crackがピシッ、パシッという鋭い音なのに対し、bangはもう少し鈍い、ドン!ガシャン!のような音のイメージです。しばしば銃を撃つ音を模していることがあります。
形容詞
skillful/professional/talented
「熟練の」「一流の」「才能ある」という技術や技能が素晴らしい人を修飾する表現です。
entertaining、amusing
映画などの娯楽が「面白い」「楽しい」「愉快である」という意味です。
cutting-edge
「最先端」のというニュアンスで使う時のcrackと同じ意味です
crazy
スラングで、「最高の」「やばい」という誉め言葉です。
フレーズ
make fun of ~
crack a joke about~の持つ意味のうち、人の失敗や恥ずかしいことなどを「からかって冗談を言う」という意味です。
break out in laughter
大笑いするという意味のcrack upと同じ意味で、「急にドッと笑い出す」というニュアンスです。
【番外編】crackの表現が使われている曲を紹介!
「Circus」by Britney Spears
アメリカのポップ・スター、ブリトニー・スピアーズが2008年に発表した6作目のアルバム「Circus」はアメリカや日本を始め全世界で大ヒットし、アルバムから2枚めのシングルとしてリリースしたタイトル曲「Circus」もミュージックビデオと共に人気を博しました。
この曲は自身のエンターテイナーとしての人生をサーカスになぞらえて「サーカスのように皆を楽しませてあげる」と歌っていますが、スキャンダルが多くマスコミに追われっぱなしだった当時の状況を皮肉っているとも言われています。
歌詞の中でcrackは「鞭を打ち鳴らす」という動作として使われており、When I crack that whip, everybody gonna trip just like a circus「私が鞭を打ち鳴らせば皆が幻を見る」と、自分の行動が常に世の注目を集め、世間を楽しませていることを比喩的に表しています。
まとめ
crackは、単一でも色々な意味があり、crackを使ったイディオムや熟語は実にたくさんあります。そのほとんどがカジュアルな意味を持つもので、年配の人との会話や公式な場、ニュース、ビジネスの場ではそれほど使われませんが、一方で、スラングを多用しているテレビドラマや映画、ヒップホップを始めとした若い層に人気の音楽とそうした文化を楽しむ人たちの間ではよく使われます。
自分の日常のボキャブラリーにぜひ加えたい単語ですが、これを多用することで自分自身の表現の方向性やキャラクター・イメージにも少なからず影響を与えることをよく知っておき、使う場や表現を選び、使用の頻度にも気を付けながら使いたいものです。