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<目次>
go overの意味や発音・アクセント
熟語としてのgo over
go overは、言うまでもなくgo という単語とoverという単語の組み合わせですが、”go over”という一つのかたまりとして意味を成す熟語としてだけでも、たくさんの意味があります。
熟語としても、やはり基本的にはそもそもの意味を大きく外れるものではなく、go=行く・進む、over=覆う、渡る、隅々、全部という基本の意味を掛け合わせというのがベースにあるのですが、日本語に訳する場合実に幅の広い熟語として使われています。
行く、遊びに行く、旅行する
go to ~とほぼ同じ意味で、go over to ~で「ある場所に行く」「移動する」という意味になります。ただ「行く」というより、overの「そちら側に」というイメージが含まれます。ここ=here、こちら側=over here のイメージを持っていただければわかりやすいと思います。特に「遊びに行く」というニュアンスを含ませたい時によく使います。
読む、目を通す、確認する、入念に調べる、見直す
readのようにただ「読む」という行動ではなく、レポートなどの書類や取扱説明書、学術的なことの解説などを、意味をしっかり理解するために読む、内容を注意深くチェックする、というイメージです。
主に書類などを読むことによって詳細に精査したり入念に見直す時にも使います。
反応などを引き起こす
しばしばwithを伴って、物事が人などに対してリアクションをもたらす、という意味で使います。
探索する
場所について詳しく探索したり、部屋や車を入念に調べるという意味があります。
繰り返し練習する
運動のように体を動かしての練習ではなく、主に学ぶために繰り返し主に読むことで練習する場合に使います。
検討する、深く考える
話や提案を検討する、計画などをしっかり理解をするために熟考する、という意味もあります。
掃除する
特にささっと手早く片付ける、というニュアンスの時に使います。
単純にgo=行くの意味にoverを付けて意味を確定する
”go”=行くという基本動詞としての本来の役割だけでもかなり多くの意味があるので、ここではよく使われる”over”を伴った“go”の使われ方、という意味で簡単に例をあげておきます。
超える
overの最もわかりやすい意味、ある数値やリミットを「超える」という意味を前面に出した使い方です。この場合のgoは「~になる」と考えればわかりやすいです。気温を例にすると、It(The temperature) went over 30℃ yesterday.「昨日は30℃超えたね」のようになります。
越える
overには、日本語と同じように「超す」だけではなく「越す」という意味もあります。越えなければならない代表的なものと言ったら川・橋ですね。「渡る」という意味で使う「越える」で、go over the river、 go over the bridgeと言います。もちろんフェンスや山など高い物を越えることもgo overで表せます。また、「一線を越える」はcross the lineと言うほかに、go over the line ということもできます。
go over の発音・アクセント
シンプルに、ゴー・オーヴァーです。会話の中ではしばしば、ゴーヴァーと重なる2つのoが1つに聞こえます。通常はゴーを強く発音します。
go overを使う時の具体的なシーンや含まれるニュアンス
行くというニュアンスを含むシチュエーション
ある地点・目的地に行く
go to~ ではなくgo over to~ を使うことによって、ちょっとそっち側に行く、というニュアンスが出てきます。また、go over toを使う場合、通常移動した先でおこなうアクションが組み合わされることが多いです。例えば、Can you go over to the window and look at the camera?「ちょっと窓のとこに行ってカメラのほう向いてくれる?」という感じです。
また、特にはっきり「~に」と場所を言わなくても良い時や、人を訪ねたり少し離れた場所にいる人のところにちょっと移動するような場合、toのかわりにandを使うこともあります。例:Why don’t you go over and talk to him?「ちょっと彼と話して来たら?」
遊びに行く
overを付けることによって、ただ目的地に行くというだけでなく、誰かの所に遊びに行く、というニュアンスまで表現できます。
日本語では、「友達と遊ぶ」「~に遊びに行く」と、特に何をするわけでもないけど誰かと一緒に時間を過ごしたり余暇を楽しむ場合に「遊ぶ」という言葉を使うので、英語に訳する時にplayを使ってしまう人がいますが、英語ではplayはあくまでも「子供が遊ぶ」イメージです。中学生以上になると「遊ぶ」という意味ではplayを使いません。
旅行のように明らかに仕事や必要があって行くのではない場合、I’m going over to Paris.「パリに遊びに行く予定」のように言います。
また、人の家に遊びに行くというような場合は、I went over to Sam’s yesterday.「昨日サムの家に遊びに行った」というようにgo overを使うと自然です。goや「来る」という意味のcomeの後にoverが付くと、「誰かの家に行く・来る」というニュアンスが発生します。前の例文でのSam側から見た場合、誰かがSamに家に「来る」ことはcome over to Sam’sになります。自分の家に遊びに来るよう誘う時はWhy don’t you come over.と言えば、「自分の家に」とわざわざ言わなくても家に招いていることになります。
ちなみに、「行く」を省いた「遊ぶ」だけなら、”hang out”という別の熟語を使ってSamと遊ぶ→hang out with Samと言うこともできます。
読むというニュアンスで使うシチュエーション
「目を通しておく」という程度から「しっかり読み込む」「見直しながら読む」というレベルまで、幅広い「読む」の意味を含ませることができるのがgo overです。日常仕事や学校などの学びの場で、とにかくよく使います。
どのレベルまでしっかり読む必要があるのかは、文脈や前後の会話、話している対象となる事がらの進捗状況などから判断するしかありません。ただ、いずれの場合も、文字をなぞるだけや楽しむために読むのではなく、「内容を理解する」というニュアンスを含んでいることがキーポイントです。
理解するために読む
例えば仕事では、計画書や新しい情報、レポートなどをちゃんと読んでおいて、という時などに使います。簡単なお知らせや伝言メモ、メールなどを見ておいて、という場合はgo overではなくreadまたはcheckになります。
また英語の授業で、「会話文を読んでみましょう」という時はLet’s read the dialogue.と言いますが、「文法の解説部分を読んでみましょう」と言うときは、しっかり意味を理解しながら読んでほしいので、readよりもgo overを使ってLet’s go over the grammar explanation. と言うことのほうが多いです。
繰り返し練習する
繰り返し読むことで習熟度を高めて練習する、というニュアンスが含まれるので、英語フレーズを繰り返して読んで練習したり、スピーチや劇・ドラマなどのセリフを何度も口に出して練習する時によく使います。身に沁みつくまで繰り返す、という広い意味では、読んだり話したりするだけでなく、ダンスの振り付けの場面で使われることもあります。
go overに関してよくある勘違い
goという基本動詞にとらわれて、go overという熟語であるということを見落としがちになります。後に続く単語や前後の文脈から、「読む」や「調べる」など他の意味で使っているということを察知する読解力が必要です。
また、「行く」という意味でのgo overを使う時も含め、少しカジュアルな響きを持つ表現なので、会話の中ではそれほどあらたまった場でなければビジネス・シーンで使っても良いのですが、公式な場や文書ではほとんど使いません。
go overをビジネスやメールでも使える表現に言い換えると?
目を通す
go overは口語表現で少しカジュアルではありますが、社内ミーティングや少人数での商談など、それほど堅苦しい場面でなければ使ってもかまいません。メールで使ったとしてもそれほど失礼な印象は与えませんが、正式な文書では避け、代わりに、review、check、readなどの言葉を使うと良いでしょう。なお、browseはビジネスの場で使えますが、間違いがないか確認したりざっと目を通す意味なので、go overとは少し意味が違います。もっとしっかり読む、というニュアンスを強調したい場合は、read through、read ~ carefully、read ~ thoroughlyなど、主にreadを使ったり、studyと書くこともあります。
精査する、入念に調べる
こうした意味で使うgo overは、主に書類によって物事を調査したり、部屋や車などを入念に調べる、という検査する、というシチュエーションで使います。examine、inspect、investigate、researchなどの言葉をシチュエーションや調べる対象に応じて置き換えると良いでしょう。
熟考する
日本のビジネス・シーンでは、相手の提案や契約の内容などについて、特に断る場合などでもバッサリ切り捨てず、「熟考を重ねた結果…」というように「申し訳ないのですが」というニュアンスをかなり前面に出した回答をします。英語圏でのビジネスも似た部分はあるものの、もう少しドライでストレートですので、こうした言い回しはあまり一般的ではありません。あえて書くなら、contemplate、deliberateのような動詞もありますが、with/after 「~して」「~の上で」という前置詞に「熟考」にあたる名詞のcontemplation、deliberation、considerationを続けて表現するほうが自然でしょう。例:We agreed after deep deliberation.
検討する
これも日本人が大好きな表現ですね。英語でも、consider、examine、などの言葉の後に検討する対象を明記して書くことはわりとよくあります。また、この意味で使う場合も、ミーティングやプレゼンテーションなどでLet’s go over the advantages and disadvantages of~. 「~のメリットとデメリットを検討してみましょう」と言うなど、口語ではgo overを使うことは一般的です。
go overを活用した例文・会話文
行く、遊びに行く
– I’m gonna go over to Ken’s for dinner tomorrow night.
明日の夜ケンの家に夕食食べに行く予定です。
超える
– I went over budget this month.
今月は予算オーバーだよ。
越える
– Go over the bridge and it’ll be on your right.
橋を渡ってすぐ右手にあります。
読む、目を通す、確認する
– Can we go over the report before the meeting to make sure we are not missing anything?
見落としがないか確認するために、一緒にレポートに目を通してくれる?
– Remember to go over your essay for grammar and spelling mistakes before you submit it.
自分の論文に文法間違いやスペルミスがないか提出前によく読むことを忘れないように。
調べる
– I’ve gone over the problem several times, but I can’t think of the solution.
その問題について何度も調べなおしたけど、解決策が思いつかないんだ。
反応を引き起こす
– How did the bad news go over with your boss?
その悪い知らせに君の上司はどうリアクションしたの?
繰り返し練習する
– Let’s go over our lines for the scene.
あのシーンのセリフを練習しましょう。
go overを応用した表現まとめ
go over the top…度を超している様子
– They went completely over the top at their wedding reception.
彼らの結婚パーティは完全にやりすぎだった。
go over someone’s head…直属の上司を飛び越えてさらに上の上司に相談すること
– He went over her head and took his complaint directly to the president of the company.
彼は(直接の上司である)彼女を飛び越えて直接社長に不満を申し立てました。
go over ~ in one’s mind…起こったことをもう一度頭の中でよく思い出す様子
– She’s been going over that horrible incident in her mind every day.
彼女は毎日あの忌まわしい出来事を思い返しています。
go over big…有名になって大成功する、商品などが大ヒットする、
– His new movie went over big this summer.
この夏彼の最新作は大成功をおさめました。
go over big with someone…人に喜んで受け入れられる、観客などに大喝采を受ける
My idea for the new product didn’t go over very big with the management team.
僕の新製品のアイディアはあまり経営陣にウケなかったみたいだ。
go over like a lead balloon…策・計画などが人に喜ばれず効果がない、あるいは失敗する
– The new benefit plan will go over like a lead balloon. Nobody will like it,
新しい福利厚生制度は失敗するだろうね。誰も喜ばないよ。
※lead balloonは鉛の風船。つまり飛ばない風船→失敗という意味
go overとlook overのニュアンスの違い・使い分け方
go overもlook overも「目を通す」と訳され、「読んで確認する」という意味で使われますが、前述のとおりgo overには「よく理解する」というニュアンスが含まれておりそれが最も大事であるのに対し、look overは文字通りざっと目を通す、scanという言葉と同じ意味で使われます。また、go over、look overどちらとも品物や人物を「調べる」という意味でも使われますが、やはりgo overのほうがしっかり入念に、というニュアンスが入り、lookあくまでも「目で見る」ことが基本の意味なので、look overはざっと見てチェックするイメージです。
なお、時々Let’s go over briefly. や、Can you go over this quickly?のようにbriefly「簡単に」quickly「ささっと」という意味の言葉をつけることがあり、ニュアンスがlook overに近くなっているように聞こえます。しかしこの場合も前提として、すでに一度読んでいるなどして理解しているはずのものを軽く流して読んでおく、というニュアンスになりますので、まだ理解していないものをさらっと流して読むlook overとはやはり違います。
go overの類似表現一覧
read
なんどか出てきましたが「読む」というアクションに限っては同じです。ただし、文字をなぞるだけ、あるいは物語を楽しむために読む、という意味で使われることが多く、仕事や契約、学術的内容を把握し理解するために読む、というgo overとは少し違います。ただし、ビジネスの場でgo overというのがカジュアルすぎる場合にはreadやread throughで表現することもあります。
look over, scan, scan through
ざっと目を通す、という意味で使います。
review
復習する、という意味で使われるのが一番一般的ですが、見直す、検閲する、という意味もあります。
check
内容を確認する、照合する、検査する、という意味で使う場合、go overとほぼ同じ意味です。
study
学術的なことを学ぶ・勉強する、という以外にも、研究する、詳しく調べる、調査する、研究する、という意味があります。契約書などを詳しく読んで内容を把握する、などと言う場合に、ただread=読むだけでなくstudyという言い方をします。
go through
良く知られている意味は「通り抜ける」ですが、ネイティブスピーカーは「困難やつらいことを経験する」という意味でもよく使います。そして、go overと同じく、よく読む、調査する、検討する、などの意味でも使われるフレーズです。
read through
チェックのため、本や書類などをすべて通して読む、という時に使います。
【番外編】go overの表現が使われている曲を紹介!
「Hello」by Adele
ロンドン出身のイギリスの歌姫、アデルが2015年に発表した3枚目のアルバム「25」のリード曲「Hello」。120か国のiTuneチャートで1位を獲得するなど世界中で大ヒットし、第59回グラミー賞「年間最優秀楽曲」「と年間最終流レコード」を受賞したことでも知られるあまりにも有名な曲ですが、日本では2017年にONE OK ROCKのTakaがカバーした動画が拡散したことで知った方も多いのではないでしょうか。
シンプルなピアノに乗せてアデルが歌う美しいバラードで、別れた恋人に電話をかけてメッセージを送っているという内容で、冒頭
I was wondering if after all these years you’d like to meet to go over everything.
と語りかける部分でgo overが出てきます。別れて何年も経ったある日ふと、「あなたは私と会って全てをもう一度語り合いたいかな、と思って」電話をかけた、ということなのですが、ここでのgo overは「確認する」というものに近いようです。その後の歌詞は、どうやら彼女が彼を傷つけたことを謝りたいので、電話に出てくれなくても掛け続ける、という内容なので、昔起こったことをgo over、もう一度よく話して確認しましょう、ということだと思われます。切ないですね。
まとめ
go overには、本当にたくさんの色々な意味があります。特に「読む」「確認する」「調べる」として使う場合、それぞれが微妙にオーバーラップしている部分もありつつ、シチュエーションや何をgo overするか、どれくらい読み込むのかの程度によって、使い分けなくてはなりませんし、他の単語のほうがシチュエーションにピッタリくるかもしれないので、意外に難易度の高いフレーズかもしれません。
それぞれの意味での例文をたくさん読み、自分の中でしっくりくるまで何度もgo overして習得することをおすすめします。