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<目次>
Tell me about itの意味や発音・アクセント
Tell me about itの意味
Tell me about itは、そのまま言葉通りに「それについて話してください」と相手に話の詳細を言うよう求めている意味と、会話の中で「その通りですよね」「よくわかります」と、相手の話への共感を示す意味とがあります。いずれも会話の中でしか使わない口語文です。
「それについて話して」
そのままなので特に解説もいりませんが、ここでのtellは、「話して」という以外に「教えて」というニュアンスがあることを覚えておきましょう。「教える」を訳する時、日本語から直訳でteachと言ってしまいがちですが、teachはあくまでも勉強や技術などの習得に関して「教える」という意味です。「話して聞かせることによって情報を教える・伝える」という場合には、tellを使うのが一般的です。例えば、初対面の人やよく知らない相手に「あなたのことについて教えて」と言う場合はTell me about yourself.と問います。
なお、日本語の「教える」にあたる英語は他にもgive「(情報を)与える」、show「(道順や物事の手順、やり方を目に見える方法で)示す」、let+人+know「人に知らせる」などがあります。
「そうですよね」という共感
Tell me about itは、「まったくだよ」「わかるよ」というような共感・同意の意味で定番フレーズとして頻繁に使われます。
会話の中では、相手が話したことに対して、自分も同じ意見・感想や経験を持っているのでよくわかる、という意味でTell me about it「そうだよね」と返します。
大事なのは、Tell me about itと言うのは通常、大変なことやつらいことなど、ネガティブなことへの共感であると言うことです。Tell me about itを言葉通りに受け取ると、前述のとおり「それについて話して」とさらに詳しく聞きたがっているように聞こえますが、実はこれは皮肉で、「それ以上言わなくてもわかるよ」「もう聞きたくないよ」、ということの裏返しとして言っています。そういうわけで、Tell me about itはポジティブなことへではなくネガティブなことへの共感にしか使わないのです。
発音・アクセント
Tell me about itは、ネイティブ・スピーカーが発音するとテゥミーアバァリッと聞こえます。アもほとんど発音しないことが多いので、テゥミーバァリッとなり、発音通りにTell me ’bout itと書かれることもあります。tellの部分のllは、ローマ字発音でルと母音をつけず舌の先で前歯の裏をグッと押して止めるイメージで発音します。about it の部分は、aboutのtと次に来るiをリンクさせてリと発音し、最後のitのtは発音しません。
Tell me about itは、会話の中ではほとんどの場合ネガティブなことへの共感です。言葉通り「教えて」と言いたい時は、若干aboutを強調して、皮肉ではなく実際本当にそのことを知りたいという気持ちをハッキリ伝えなければ誤解されるので気を付けましょう。
共感の意味で使う場合、一番強く発音する部分は最初のT、次に強いのはaboutのbです。前に述べたようにネガティブなことへの共感で、しかもフレーズ自体は深い意味を持たない相づちのようなものなので、さらっとひとかたまりの単語のようにつなげて発音します。
Tell me about itを使う時の具体的なシーンや含まれるニュアンス
「それについて話して」という意味で使う場合
皮肉ではなく本当に話してほしいので、「詳しく聞かせて」というニュアンスが含まれます。相手が話したことについて実際もっと具体的に聞きたい時に使い、ポジティブな場合もネガティブな場合も両方使えます。ネガティブなことへの共感とは違うことを明確にしなければならないので、ただTell me about itというのではなく、Tell me more about it. Tell me a bit about it.と「もう少し話して」としたり、最初にpleaseやCan you~/Could you~?という依頼文にすると良いでしょう。
共感で使う場合
会話の中で、まず相手がネガティブな内容を話し、それを受けて自分もその内容に直接的間接的に共感できてネガティブに「ほんとうにそうだよね」「まったくだよね」「ウンザリだよね」というニュアンスでTell me more about itと返すのがお決まりの流れです。「ネガティブなことへの共感」が大前提なので、初めて聞くような話や自分にはなかった感情や経験に対して「それは大変だったね、よくわかるよ」という時や、当たり障りのない話やポジティブな話への相づち、That’s rightとただ相手の意見を肯定するだけの時などには使いません。
Tell me more about itと言った後に続けて、補足のように、あるいは自分も聞いてほしいという場合などに、自分自身の気持ちや経験を付け加えることもよくあります。
また、Tell me more about itは皮肉であり、実際はDon’t tell me about itというのが本来の意味であることから、「もう聞き飽きた」、「誰もが同じことを言っているから言わなくてもわかるよ」と、もう言わなくていい、聞きたくない、というニュアンスを含ませることができます。
Tell me about itに対しての返事や答え方のパターン6選
実際に「詳しく話して」に対しては、具体的にその内容を話すだけなので、ここではネガティブな共感の相づちのTell me more about itに対する答え方についてお話します。
基本的に何も返事を求められているわけではないので、さらっと気持ちを確認しあうのが基本です。よくある答えとしては、
I know, right?
Right?
Yeah.
It’s really terrible.
Unbelievable.
共感を確認しあう
Tell me more about it「ほんとそうよね」と言われたら、一番多いのは、「でしょ!」と軽く返す答え方でしょう。
I know!
シンプルに、「でしょ!」「だよね!」「そうなんだよ!」という意味です。
I know, right?
確認のright?を加えることで、うなづきあいたい気持ちが込められています。2000年代に映画の影響で10代の女性を中心に頻繁に使われるようになった表現で、不快に感じる人もいるようなので、年配の方やあまりよく知らない相手と話している時、ビジネスの場などでは使うのを避けたほうが無難です。
Right? / Yeah.
一番シンプルな答えで、「ねえ」という感じのあっさりとした返事です。
追い打ちをかけるように感想を言う
締めくくりとして、あらためて話していた内容がどれだけひどいかの気持ちを言って返すこともあります。ここに挙げている例だけでなく、どんな感情を話しても良いでしょう。
It’s really terrible.
「本当にひどいよね」
Unbelievable.
「信じられないよ」
Tell me about itに関してよくある勘違い
冒頭でお話しした通り、言葉通りに「それについて話してください」と言われていると勘違いされることがとにかく多いです。相手の表情、声のトーン、自分が話した内容などから判断しなくてはなりません。
また、似たフレーズでYou tell me!というものがあり、Tell me about itの意味で誤って使ってしまうケースもたまに耳にします。You tell me!は、相手が言ったことに対して、自分は知らないからあなたが言ってくれ、という意味があり、「知りたいのはこっちだ」「私にわかるわけない」「君のほうが知っているだろう」「教えてくれよ」とつっかかるようなニュアンスです。あるいは、「分かっているんでしょう」「先刻承知でしょう」と、相手が知らないふりをしている時や、相手がわかっているくせに自分に言わせようとしている時などに使うこともあります。
Tell me about itをビジネスやメールでも使える表現に言い換えると?
「それについて話して」という意味で使う場合
Please tell me about it. Could you tell me more about it?というように、ていねいに話を促すフレーズを用いましょう。I’d like to hear more details.と、「もっと聞きたい」をいうニュアンスで促すのも良い方法です。
共感で使う場合
ビジネスの場でもよく聞かれますが、目上の人やそれほど親しい間柄ではないクライアントに対しては、Absolutely.「まったくですね」と簡単に共感の意思を示すか、I absolutely agree with you.「あなたに完全に同意します」と言って同意を示したり、What you said is absolutely true「あなたがおっしゃることはごもっともです」と相手の意見・感想に同調しても良いでしょう。相手の話にYesかNoで答えられるような場合では、Definitely「間違いなく」「確かに」と言う答え方もあります。
Tell me about itを活用した例文・会話文
「それについて話して」という意味で使う場合
A: I had the best first date ever!
初めてのデートとしては今までで最高だったわ!
B: Wow, tell me about it!
へえ、聞かせて!
A: Oh my god, He was bragging constantly.
ああ嫌だ、彼、また自慢話ばかり。
B: Tell me about it.
そうなのね。
A: I know. I can’t stand it!
本当よね。もう我慢できないわ!
B: No no, please tell me more about it. What was he bragging about?
あ、いや、もっと彼のこと話して。何を自慢してたの?
※Aが、Bの言ったTell me about itを共感しての言葉だと思い違いをしている
共感で使う場合
A: I can’t believe how hot it’s been!
こんなに暑さが続くなんて、信じられないよ!
B: Tell me about it. Do you wanna something cold to drink?
まったくだよ。何か冷たい飲み物でも飲む?
A: Did you see the new Star Wars movie?
新しいスター・ウォーズ観た?
B: Yeah, I was expecting better, actually.
うん、もっと良いもの期待してたんだけどね。
A: Tell me about it! I was so disappointed!
そうなんだよ!がっかりだったね!
B: I know. It was such a waste of time.
だよね。時間の無駄だったよ。
A: I’ve been studying so hard but I still don’t understand this theory.
すごく頑張って勉強してるんだけど、やっぱりこの理論わからないなぁ。
B: Tell me about it. I don’t even know where to start.
わかるわかる。どこから始めたら良いかさえわからないよ。
A: It’s a torture!
拷問だね。
B: Totally.
まったくだよ。
Tell me about itを応用した表現まとめ
英語には、1つの単語やフレーズが2つ以上の意味を持つことがしばしばあり、ダジャレのようにわざと相手が意図した意味と別の意味でとったように返すジョークがしばしば聞かれます。代表的なものでいうと、watch。これは全く別の意味というわけではありませんが、ただ「見る」という意味と「注意しておく」という意味の違いがあります。Can you watch my purse while I’m gone?「ちょっと席を立つ間私のバッグ見ててくれる?」と言われて、Sure, I’ll be watching the moment it gets stolen.「いいよ、盗まれる瞬間もよく見ておくね」と、日本語と同じようにジョークが成り立ちます。英語では、こうした言葉遊び的なやりとりがよく行われます。
誰かが共感してTell me about it.「その通りだよね」とウンザリして言った後に、言葉通りの「話して」という意味にとったかのように、I don’t wanna tell you about it.「言いたくないよ」と変則的な返事をしたり、OK, I’ll tell you all the details.「いいよ、詳しく話してあげる」と茶化すような返事をしたりするのも楽しいですね。ただこれは、本来の嫌なことに共感しての返事である、という意味を理解しているであろう英語力の人が言わないと、本当に誤解して文字通り「話して」と受け取ったと思われてしまう場合があるので、注意しましょう。
また、すでに知っている嫌なことを愚痴のように言われたり責められたりして不快に感じた場合には、Tell me about itの後に as if I don’t already know.「あたかも私が知らないかのように」という意味のフレーズを付け加えることで、「ああそうだよね、知ってるよ!」つまり「何度も言うな」というニュアンスを、共感ではなく皮肉を込めて相手にぶつける方法もあります。
Tell me about itとOf courseのニュアンスの違い・使い分け方
Of courseは「もちろん」という意味のフレーズですが、しばしば「そりゃあそうだよ」「そうだろうね」という、Tell me about itと似たネガティブな意味での共感を表す時に用いられます。しかし、相手の話の流れから、Tell me about itはしっくりきてもOf courseではおかしいことがあり、もちろん逆の場合もあります。
下記の会話を例にとってみましょう。
A: Ugh! The boss is so annoying.
もう!ボスったら本当にムカつく!
B: Tell me about it. He just gave me all these paper work and it’ll take forever.
わかるよ。ちょうど雑務処理を押し付けられたところ。永遠に終わらないよ。
A: Oh no, he did? He is making me work overtime again and he’s going for a drink!
そうなの?私はまた残業押し付けられたのよ、自分は飲みに行くくせに!
B: Of course. That’s who he is.
そりゃあそうさ。彼はそういう奴だよ。
最初にBがTell me about itと言っている部分は、Of courseでは流れが合いません。He is annoyingと、具体的な言動ではなく状態に対してOf courseというと、「もちろんだよ」という返事になり、少しおかしな感じがします。対して最後のBのOf courseは、ボスがAに残業を押し付け飲みに行くという具体的な行動に対し、「もちろん彼はそうするだろうね」という意味で言っており、つじつまが合います。前に既にTell me about itと言っているので何度も繰り返さないほうが良いということもありますが、こうした具体的な行動・事象に対してはTell me about itよりもOf courseのほうが適しています。
ちなみに、こうした使い方のOf course.は、ある事象・行動が想定内だというような場合に「そりゃあボスはそうするよ」と言う意味で使うので、Of courseの後にその行動を表すhe doesを付けて、Of course he does.ということもあります。
Tell me about itの類似表現一覧
I know.
返事のしかたでも出ましたが、「わかるよ」「そうだよね」という肯定の相づちで、ポジティブ・ネガティブに関わらず共感をあらわす時に広く使えます。
True dat./True that.
非常にカジュアルなスラングで、「言えてるね」「だよね」という軽い返事です。共感の度合いはTell me about itよりも低いです。
You can say that again.
相手の言葉に感心したように「良いこと言いますね」と共感したり、「まさにそのとおり」と完全な同意を示す時に使います。
Same here.
相手の厳しい状況などを聞いて、「こっちもだよ」と自分の状況が同じであることを伝えつつ共感を示す言葉です。「まったく同感です」と言いたい時にも使えます。
【番外編】Tell me about itの表現が使われている曲を紹介!
「Tell me ‘bout it」 by Joss Stone
2007年に発表されたジョス・ストーンの3枚目のアルバム「Introducing Joss Stone」の中から最初にシングルカットされた曲です。日本でも大人気だったアメリカのドラマ「ゴシップ・ガール」の中で使われています。
付き合っている男性に対して、彼の感情や自分の感情を知りたい、というシンプルなことを歌っており、Tell me ‘bout it (Tell me about it)は、素直に「それについて話して」との問いかけです。ちなみに最後のほうに、What’s your storyというフレーズが出てきますが、これは最初の項でもお話ししたTell me about yourselfと同じ意味です。
「I’m a Man」by Pulp
90年代に社会現象を巻き起こすほどの人気だったイギリスのロックバンド、パルプが1998年に発表したアルバム「This is Hardcore」の中の曲。ステレオタイプの“男らしく”あることの無意味さを歌い、ウンザリした調子でOh, tell me about itと言います。実は歌詞の中ではこうしたネガティブな共感の「そうだよね」の意味でのTell me about itが見られる曲は大変珍しいと思われます。
まとめ
Tell me about itは、文字通り素直に意味をとった場合と、皮肉な表現としてネガティブな言葉に相づちをうつ場合とで、相手の言葉に対してほぼ真逆の反応を示すことになります。そのため誤解も生まれたり、一方でジョークとして遊ぶことができるなど、面白いフレーズです。声の抑揚や表情、ボディランゲージなどを使って、どちらの意味で言っているのかをはっきりさせましょう。「話して」の意味のほうはそれほど使うのも難しくありませんが、共感するほうのTell me about itはどの場面で言うのが最適なのか、少し自分なりに色々なシチュエーションを想定して練習してみると、自然に口から出てくるようになります。とてもネイティブ・スピーカーっぽい言い回しなので、ぜひ使いこなせるようになりましょう。