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TOEIC L&Rは就職や昇進だけでなく、大学受験でも重視される超有名な英語資格試験。
800点以上あれば外資系企業で働くにも有利ですし、近年注目されているインターンシップでも700点以上でなければ門前払いというところさえあります。
しかし、『TOEIC L&Rを初めて受けるけど、どう勉強したらいいのか分からない』『TOEICを何回か受けているけど、スコアが伸びなくて困っている』という声も多いもの。
一体、どのような勉強法が有効なのでしょう?
結論から言えば、TOEIC L&Rでスコアアップを目指すなら、自分のレベルに合った教材と勉強法を選ばなければなりません。
世の中にはTOEICのスコアアップをうたう参考書が溢れています。
でも、英語力そのものが足りない場合、いくらTOEIC攻略法を学んでもスコアは頭打ち。
英語力が高くても、問題形式や出題パターン、効率のいい解き方を知らないと高スコアは難しいものです。
そこで、本記事ではTOEIC L&Rの勉強を始めて半年で910点を取得した筆者が、レベル別勉強法とTOEIC攻略のコツ・ポイントを解説。
ムダな勉強法を捨てた効率的なスコアアップ、英語力アップをお手伝いします。
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<目次>
TOEIC L&Rにはレベル別勉強法が効く!まずはレベルチェックから
TOEIC対策はレベルチェックから始めましょう。
レベルチェックなしにいきなり勉強を始めるのは、地図なしに知らない街を歩くのと同じ。
自分の英語力がどのくらいなのか、どこに課題があるのかの分析は必須です。
以下を参考に、ご自身のレベルと英語力を分析してみてください。
TOEIC初心者レベルのスコアと英語力、課題
TOEICで初心者や初級レベルと言われるのは、次のいずれかに当てはまる人たちです。
- 中学英語に不安がある
- 英会話学習を始めたばかり
- TOEICでリスニングとリーデクングのスコアが、それぞれ275点未満
英検では準2級以下のレベル帯です。
初級レベルの英語力は、英会話でのコミュニケーションができない状態から、簡単な日常会話ならできる状態まで。
初級の課題は、複雑な状況や話題を理解することが難しいことです。
基本的な語彙力を強化するとともに中学英文法を復習し、長めの会話や文でも理解できるようにする練習が必要です。
スコア600点台〜700点台レベルの英語力と課題
TOEICでリスニング、リーディングのスコアがそれぞれ275点以上の場合は、中級レベルです。
中学英語を理解していて、英検では2級〜準1級に相当します。
600点台〜700点台の人の英語力は、複雑でない日常会話の理解とコミュニケーションができて、自分の専門分野であれば仕事でも英語を使えるレベル。
課題は、専門分野以外の複雑な話題についていけないことです。自分の意思を伝えるときに表現が不足していることもあります。
レベルアップするには、専門分野以外の知識や語彙力と高校英文法の知識を強化しましょう。
800点台の人の英語力と課題
TOEIC L&Rで800点台のスコアを持っている場合も、英会話中級に分類されます。
とはいえ、中級はレベルの幅が広く、英検では準1級〜1級の下位層に相当すると言われています。
800点台は、TOEIC独自のランクでも2つに分けられていて、859点以下はランクB、860点以上はランクAです。
ランクBの英語力は、日常英会話には何の問題もなく、複数の話題に対応できてレスポンスも早いレベル。
大きな支障なく英語で仕事もできます。
課題は、会話の中で文法的な誤りがあったり、流暢さに問題があったりすることくらい。
仕事や公式の場でも通用するよう、フォーマルな英語表現を学びつつ何度もアウトプットしながら身につけていきましょう。
ランクAについては次項で解説します。
900点台〜満点の英語力と課題
TOEIC L&Rのスコア900点台は、英検1級に相当します。
中級の中の上位、または上級レベルです。
TOEIC独自のランクでは、ランクAに分類されます。
ランクAは、非ネイティブとして十分に英語でコミュニケーションをとれるレベル。
自分の経験で理解できる範囲なら、専門外の分野についても英語で対応可能です。
会話も流暢で、語彙・文法・構文も問題なく使えます。
ランクAの課題を強いて挙げるなら、ネイティブレベルには届いていないこと。
表現力や流暢さを磨くには、ネイティブによるテレビ番組や映画を使って学習を続けるとよいでしょう。
英単語・熟語の覚え方と全レベル共通の教材・勉強法
語彙力向上を目指す時に英単語集を使うかどうかは、レベルによって異なります。
一方、どのレベルでも使える教材や勉強法もあります。
ここでは、中学・高校時代のような退屈な英単語丸暗記ではなく、少し大変だけどスコアアップに直結する勉強法をご紹介しましょう。
ただの丸暗記は卒業!英単語は例文で覚える
中学高校時代、何度も単語を書いたり暗記カードをめくったりして覚えた人は多いでしょう。
筆者もそうした暗記法を実践していました。
しかし、単語のスペルとその和訳だけを覚えるのは、実は非効率的な覚え方。
単語は文の中で覚えなければ意味がないからです。
たとえば、りんごを指さしてあなたが“An Apple!”と言っている場面を想像してください。
これを聞いた周りの人たちは、あなたのために何かしてくれるでしょうか?
大人が単語だけを発しても、「・・・で?」と思われて終わりです。
“Look! There’s an apple on the tree!”といって驚きを共有したり、“I’d like to have an apple for lunch.”と言ってリンゴを用意してもらったりするように、その単語を含んだ何らかの文にしなければいけません。
TOEIC L&Rで高スコアを取得している人たちは、文脈の中で単語や表現を暗記しています。
単語を例文ごと覚えれば、単語の意味だけでなく、使い方や一緒に登場しやすい他の英単語も合わせて覚えられるからです。
TOEIC L&R英単語にすすめの本やアプリ
TOEICに必要な英単語や表現を学ぶなら、公式問題集の解説を読むのが最も効率的。
ただ、中学英語に不安がある場合は基礎の基礎を別の教材で補うほうが、理解しやすくなるでしょう。
英単語の音や基本語の学習に特化した教材でおすすめの本は、2冊あります。
1冊目は、『Longman Children’s Picture Dictionary』。
絵を見ながら基本英単語や表現を学習できるため、従来の「英語スペル⇔日本語の訳」という暗記法から抜け出せます。
大人なら知っている英単語もたくさん。
CDには単語の発音や会話例だけでなく、絵で説明されているさまざまな単語を使った歌やチャンクもあります。
「英語のまま見る、聞く」を体験しながら、日常会話に必要な英単語を覚えていきましょう。
2冊目は、大学受験用参考書としても使われる『DUO 3.0』とその音声CD「DUO 3.0/CD基礎用」。
現代英語の重要単語1,600語と重要熟語1,000語を収録しており、TOEIC対策としてもよくおすすめされる教材です。
最大の特徴は、重要単語と重要熟語を凝縮させた560の例文。
ネイティブと一緒に作られているので例文の質も高く保たれています。
CD基礎用には和文の音読とネイティブによる音読が収録され、後に紹介する「音読勉強法」やシャドーイングによるボキャブラリー強化に適しています。
アプリでおすすめなのは、語学教育大手のアルクによるキクタンシリーズです。
書籍版とアプリ版の両方がありますが、収録内容はほぼ同じ。
しかし、手軽に音声を聞いて暗記できる、復習テスト機能があるという点でアプリのほうが使い勝手が良いでしょう。
例文の音声を聞くには、「詳細学習」モードで学習します。
中学英単語に不安があるなら「キクタンBasic」が、中学英単語は大丈夫という人は「キクタンTOEIC 600」がおすすめです。
TOEICの基本教材は公式問題集が鉄板!
TOEICの問題は主にビジネスシーンから出題され、出題形式と問題数も決まっています。
その問題数、実に200問。2時間で解ききるには英語力だけでなく集中力や戦略も必要です。
TOEIC対策の要求に答えてくれる教材の筆頭は、何と言ってもTOEIC L&Rの公式問題集。
内容だけでなく形式・量、そして問題作成プロセスまで本番のテストと同じだからです。
さまざまな使い方が可能なので、TOEIC初心者から上級者まで使えます。
L&Rの公式問題集は2020年6月現在で6冊。
1冊に2回分のテストが入っています。
充実した解答・解説つきで、どこを間違えたのか、なぜそれが正解なのかなど弱点分析にも便利。
問題文のスクリプトとCDは音読教材にもなります。
本番と同じクオリティなので、公式問題集のテストに出てくる表現をすべて覚えれば、900点を取得した人でもスコアアップを見込めるでしょう。
TOEICの公式問題集は、全レベル向けの万能教材なのです。
TOEICは苦手分野から強化しよう
TOECI L&Rの問題数は200問ととても多いのが特徴。
問題形式別で見ても、Part1〜Part7の7種類があります。
効率よくスコアアップしていくいは、得意分野より苦手分野に注力するほうが有効です。
まずは、以下の手順で公式問題集を使ったセルフ模擬試験と正答率の算出をやってみてください。
<セルフ模擬試験と正答率の算出方法>
- 2時間のタイマーをセットし、本番同様に公式問題集1回分のテストを解く
- テストを解く際に、勘で解答した問題にはチェックをつけておく
- テスト後、答え合わせをする
- Partごとに正答率を出す(=正解数÷問題数×100)この時、勘で正解した解答は不正解扱いにする
最も正答率の低いPartが、現在のあなたの苦手Part。もし正答率が同じくらいのPartがある場合は、次の順番で対策するのがおすすめです。
<リスニング問題のおすすめ対策順>
Part 1 ⇒ Part 3 と Part 4 ⇒ Part 2
<リーディング問題のおすすめ対策順>
Part 5 ⇒ Part 6 ⇒ Part 7
目指せ600点!TOEIC初心者向けの勉強法と教材
TOEIC L&Rでスコア600を目指すなら、中学英単語と中学英文法、リスニングの基礎的な学習をしましょう。
ここでは、TOEIC初心者・初級者におすすめの勉強法や英単語・英文法教材、アプリを紹介します。
リスニングは英検過去問が大活躍
TOEICのリスニング初心者は、リスニング問題で最も簡単と言われるPart 1の問題でも戸惑うことがあります。
理由は、英語に耳が慣れていないから。耳を英語に慣らす必要のある段階では、公式問題集を使うには時期尚早です。
まずは、英検過去問のリスニング問題に取り組みましょう。
英検公式サイトには各級の過去問が掲載されていて、リスニングの音声だけでなく原稿も見られます。
下の級ほど英文が簡単でゆっくり読まれるため、耳を慣らすには最適です。
遠慮なく5級から取り組んでみてください。
やり方は、
- 実際にリスニング問題を解く
- 答え合わせをする
- 原稿を見ながら、もう一度音声を聞く
- 知らない単語や表現を確認する
- 原稿を10回音読する
- もう一度、同じ問題を解いて答え合わせをする
- 正答率が8割程度になったら次の級へ進む
というイメージ。
英検準2級のリスニング問題まで分かるようになれば、TOEICのPart 1 もずいぶん聞きやすくなっているはずです。
英検でのリスニング練習が準2級まで進んで公式問題集を使えるようになったら、いよいよ以下の手順で苦手Partを特定、強化しましょう。
<リスニングの強化方法>
- 苦手Partのうち間違えた問題と勘で正解した問題の解説を読んで理解する
- 知らない単語や表現を確認する
- スクリプトの音読を10回行う
- 音読を通して、テスト問題に出てくる単語・表現の意味と音を覚える
- 苦手Partのテスト問題を解き直し、正答率を出す
- 正答率が他のPartより高くなっていたら、別の一番低いリスニングPartの対策を始める
常に自分の弱点分析と強化がTOEIC対策の中心にあることを忘れないでください。
リーディングはPart 5が得点源!解き方のコツ
リーディング問題のうち、Part 5は短文穴埋めの小問集合です。
日本人には取り組みやすい形式。
単語の品詞や文法上の役割、イディオムの形といった点から見て正しい選択肢を選びましょう。
Part 5は、いかに早く解き終わるかがポイントです。
理想的にはPart 5の30問は10分で解き終わりたいところ。
600点を目指す段階ではもう少し時間をかけても構いませんが、最終的には1問20秒で解けるよう意識しましょう。
Part 5を攻略するには、文法やイディオム、構文の観点から選択肢を絞り込める英語力が必要です。
中学英文法で名詞・副詞・形容詞の使い方、接続詞と前置詞の違い、それぞれの時制における動詞の形などをあらためてチェックしてください。
文法で選択肢を絞り込めない問題では、イディオムや構文の知識を使います。
それでも決定できない場合は、単語の意味から選択肢を選びましょう。
中学英単語・中学英文法参考書で基本を押さえる
TOEICスコア600を突破するには、中学英単語と中学英文法を突破しなければなりません。
これまでに紹介したDuo 3.0やキクタンBasicがおすすめですが、もっと基本の単語から始めるなら『高校入試 でる順ターゲット 中学英単語1800』も使い勝手が良いでしょう。
“I”や“what”といった中学1年生レベルの単語から復習できますし、例文の音声もダウンロードできます。
中学英文法を学ぶなら、定評のある『中学英語をもう一度ひとつひとうわかりやすく』という本がおすすめ。
英語の文章構造を図や色を使って見せてくれるので、リーディングで重要な「単語のまとまりで英文を見る」体験をしながら文法の復習が可能です。
700点を目指す人の勉強法とおすすめ教材
700点突破を目指すなら、基本的な問題でミスはできません。
リスニングの精度を上げ、リーディングでは速読力を向上させましょう。
特に、Part 1は満点を狙い、Part 5とPart 6は20分以内に解ききる練習が必要です。
リスニングPart 1 は満点狙い!シャドーイングがポイント
リスニングとリーディングでほぼ均等にスコアをとって700点を突破するなら、リスニングだけで350点が必要です。
正解数に換算すると68問前後なので、2問に1問は必ず正解しなければなりません。
そこで、リスニングでは最も難易度の低いPart 1(全6問)で全問正解を狙い、Part 3やPart 4の正答率も高めましょう。
リスニング力自体を上げるには、音読だけでなくシャドーイングが有効。シャドーイングとは、音声を聞きながらそれを真似して発音することです。
上級者なら必ずやったことがある訓練で、英語の「メロディ」を意識して発音することで英語耳をつくる効果があります。
まずは以下の手順で、シャドーイングの準備運動から始めましょう。
ポイントは、聞こえてくる音と全く同じ発音・リズム・抑揚で自分も発音すること。そして、同じ英文を何度も練習することです。
<1〜3周目:シャドーイングの準備1>
リスニング問題のスクリプトや英会話の例文を見ながら音声を聞き、1文ごとに音声を止めて声に出して例文を読む
<4〜6周目:シャドーイングの準備2>
リスニング問題のスクリプトや例文を見ながら音声を流し、音声を止めずにワンテンポ後れて自分で声に出しながら例文を読む
<7〜10周目:シャドーイング>
例文を見ずに音声を流し、音声を聞きながらワンテンポ後れて音声と同じように声に出して言う
シャドーイングをする前に解説や和訳などで全体の流れや意味を把握しておけば、何度も声に出して言っているうちに単語や表現の意味も覚えられます。
リーディングは語彙力と速読力でスコアアップ
スコア700を達成するには、リーディングでも350点程度をとる必要があります。
TOEICのリーディングセクションで点数をとりやすいのは、Part 5の30問とPart 6の16問。Part 5は先述のとおり語彙・文法・イディオム・構文等に関する小問集合です。
一方、Part 6は長文穴埋め問題で、文脈に合った単語や文を空欄に入れます。
Part 6では6〜10行ほどの文章を読みます。
ウェブページだったりメールだったりと文体はいくつかありますが、いずれにしても速読力がポイント。
Part 6攻略法として「文章は全部読まなくていい」という戦略が見られることも多いのですが、これは上級者のやり方です。
英文に慣れていない段階で飛ばし読みをすると、文章の文脈を誤解し、誤答する恐れがあるので、あまりおすすめできません。
「まずは設問を読む」という鉄則を実践しつつ、問題文を時間内に読み通せる速読力を養いましょう。
速読力を上げるには
一般的な日本人の英文を読む速さは、1分間あたり80〜100ワード。
TOEICの問題を時間内に全て解くには、1分間あたり150ワード程度の速さが必要です。
しかし、いくら速く読めても内容を理解できなければスコアアップにつながりません。
そこで、速読の練習をする前にやるべき学習・訓練が3つあります。
<速読の練習を始める前の3つの学習・訓練>
- 知らない英単語や表現を減らす
- 高校レベルの英文法を理解する
- 英文を「単語のまとまり」でとらえる(スラッシュリーディング)
この3つを一度に学習・訓練できるのが、「音読勉強法」です。
英語のリーディング学習における音読のメリットは
- 英文を頭から理解し「返り読み」する(英文をうしろから訳す)クセをなくせる
- 読むリズムが分かり、「単語のまとまり」を意識した暗記と読解ができる
- 速く音読できれば黙読でも速く読める
という点に集約されます。
音読勉強法では、テキストの英文(長文)10回の音読がマスト。
「疲れた」「飽きた」という理由で2〜3回の音読しかやらない人もいますが、それだけ効果は下がってしまいますので気をつけてください。
必携参考書は公式問題集と高校英文法参考書
スコア700を目指す場合でも、リスニング学習の必携参考書はTOEIC L&Rの公式問題集です。
クオリティの高い問題とTOEICに特化した内容音声でシャドーイングができます。
公式問題集6冊分(テスト12回分)のリスニング問題全てを十分にシャドーイングすれば、リスニングセクションで350点どころか400点も夢ではありません。
公式問題集の解説では、問題ごとに重要語や間違えやすい単語との違いなども書かれていて便利。
「わざわざ新しい単語集を買いたくない」という人は、公式問題集に出てくる単語や表現を片っ端から覚えましょう。
高校英文法の学習には、大学受験用の総合英語の参考書がおすすめです。
筆者の場合は『Forest 7th Edition』をずっと使ってきました。
多色刷りで適度に図表もあって理解しやすいし、文法の辞書のように使えます。
ただ、もう発行が終了しているため、今は中古でしか手に入りません。
Forest以外では、『高校英文法をひとつひとつわかりやすく』が図解豊富で飽きずに学習できる本です。
また、「一通り高校英語は分かっているはずだけど正解に結びつかない」という場合は、『英文法の鬼100則』で各文法事項のポイントを復習するとよいでしょう。
TOEIC L&Rに特化した文法参考書は、問題別の文法解説の形が主流です。
しかし、高校英文法に不安がある人が使うと、英文法の体系的な把握が妨げられてしまうかもしれません。
まずは高校生用の英文法参考書から勉強するのがおすすめです。
スラッシュリーディングと音読の両方ができる教材としては、「大学入試英語長文ハイパートレーニング」シリーズが有名。
最大の特徴は、「速読トレーニング」のページ(スラッシュと和訳が入った英文のページ)と、付属の音読学習用CDです。
ハイパートレーニングシリーズを使うにあたり、問題を解く必要はありません。
解答・解説部分を音読教材として使うことに徹しましょう。勉強の手順は、以下のようにします。
<ハイパートレーニングシリーズを使った勉強法>
- 問題英文の白文を読んで、内容を理解する
- 全訳を読んで、理解した内容が正しいか確認する
- 速読トレーニングのページを見て、自分が誤解した単語や表現をチェック
- 速読トレーニングのページを見ながら、付属CDを使ったリピートトレーニングを行う(3〜5回)
- 付属CDでナチュラルスピードの音声を聞きながら、英語の白文を読む
- 付属CDのナチュラルスピードの音声を真似して、英語の白文を見ながら音読する(10回)
音読で余裕が出てきたら、ハイパートレーニングシリーズでシャドーイングを行うのもおすすめです。
800点超えを狙う勉強法と強化ポイント
800点超えを狙う勉強法は、700点超えを狙う勉強法と基本的には同じです。
異なるのは、よりTOEICに特化した戦略が重要なこと。リスニングセクションでは、問題をどんどん先読みして正答率を上げ、リーディングセクションではPart 7に取り組める時間を増やしましょう。
リスニング問題は先取り・先読み戦法で正答率を上げる
800点のうち400点をリスニングでとるには、4問中3問正解しなければなりません。
Part 1で全問正解を狙うのはもちろん、Part 2〜Part 4でもきっちり正解を狙っていく必要があります。
Part 2は短い会話における適切な応答を選ぶ問題。
一見簡単そうに見えますが、テスト冊子には設問も選択肢も印刷されていないため、純粋なリスニング力が問われます。
引っかけ問題もあるため、解答に悩んでいるとあっという間に問題に置いていかるでしょう。
もしPart 3やPart 4で正答率が75%未満なら、まずPart 3やPart 4の強化がおすすめです。
Part 3とPart 4は設問も選択肢も印刷されていて、問題の「先取り」「先読み」ができるからです。
先取り戦法はリスニング問題の定石。やり方はいたってシンプルです。
Part全体の説明が流れているうちに1問目の設問を眺めておき、何について問われるのかを頭に入れます。
1問目の問題が始まり、答えが分かった時点で解答をマーク。
解答できたら、もう1問目の音声は聞く必要ありません。
2問目の設問を眺めて問われる内容を頭に入れておきましょう。
先取り戦法のメリットは、
- リスニングの音声の中からどの情報を拾えばいいのかあらかじめ分かる
- 脳のワーキングメモリ消費を押さえられる
- 気持ちにも余裕が出て落ち着いて問題に取り組める
という点です。
もし解答が分からない場合は、悩まず「これかな?」という選択肢をマークしておきましょう。
マークしてはいけない場所に印をつけたり、何もマークせずに飛ばしたりするとマークミスが起きやすくなってしまいます。
800点狙いではシャドーイングで英語耳の強化をしつつ、公式問題集で先取りの練習を行っていきましょう。
リーディング問題はPart 7がポイント
リーディングで400点を突破するには、5問中4問の正解が必要です。
仮にPart 5とPart 6で全問正解したとしても、Part 7であと34問正解しなければなりません。
Part 7で正解数を増やすには、Part 5とPart 6をなるべく速く解き終わるのがポイント。
目標は、それぞれ10分です。そうすれば、Part 7に1時間近くの時間を割けるようになります。
Part 7には2つの出題形式があります。
前半は1つの文書から情報を読み取る形式、後半は複数の文書から情報を読み取る形式です。
Part 7前半では、Part 6と同様に速読力が威力を発揮します。
速読力がないと飛ばし読みしなければならず、下手をすれば正答率が下がる恐れが・・・。
速読力があれば、Part 7前半の文章を全て読んでも大きなダメージはありません。
設問を先に読み、その後、問題文を読みながら解答しましょう。
前半で全問正解できれば、Part 7後半は1セット(5問)の正解でリーディング400点突破です。
メイン教材は公式問題集!語彙と文法をマスターしよう
リスニングで先取りの練習をしたり、リーディングで解答時間を短縮したりするには、公式問題集が不可欠。
闇雲に問題を解きまくるのではなく、必ず間違えた問題の解説を読み、文法事項をチェックし、知らない単語やイディオム・文章構造のパターンを音読で身につけましょう。
Part 3〜Part 6で全問正解するまで確認と解き直しを繰り返せば、着実に力がつきます。
また、高校英文法の総合英語の参考書をやり込み、文法面での「うっかり」を減らしましょう。
速読教材も、先述のハイパートレーニングシリーズを続ければOK。ハイパートレーニングシリーズが終わってしまった人は、公式問題集のPart 7の問題文でスラッシュリーディングの練習をしましょう。
読むのにかかった時間を計測し、1分あたりに読めるワード数が150くらいになれば、本番のテストでも時間内に全問解答できる可能性が高くなります。
TOEIC L&Rで900点以上をとるコツ
一般に「900点の壁」と言われる難しさがTOEIC L&Rには存在します。
900点以上をとるには、単純なリスニング力や文法・構文の知識以上の総合的な英語力が求められるからです。
900点台の人は、リスニングセクションで大きなミスをしません。
引っかけ問題のいくつかにうっかりひっかかったり、推理しないと解答できない問題でいくつか落としたりする程度。
リーディングセクションでも、間違えるのはせいぜいPart 7の後半です。
全体を通して9割の正答率を達成しなければならないので、とにかく苦手を見つけて潰していくしかありません。
公式問題集でパターン把握、苦手な訛りを克服する
リスニングセクションの引っかけや推理が必要な問題は、パターンの把握で対応できます。
たとえばPart 2の場合、「いつ〜なの?」という設問に対する正解が「知らないなあ」や「確認してみる」であるケースがあります。
設問が疑問文ではなく「〜だ」「〜らしい」という平叙文の形をとる場合は、「よくあることだよ」のような選択肢が正解になることもあります。
話者が増えるPart 3では、複数の国の人たちが話す中で、1人だけ聞き取りにくい場合があるかもしれません。
主な原因は、各国に特徴的な発音(訛り)です。
TOEICのリスニング問題では、米国・英国・カナダ・オーストラリアの4か国の発音が混在しています。
筆者の場合は、オーストラリア訛りで聞き取れないことが頻発しました。
訛りへの対応力を上げるには、公式問題集のリスニングで苦手な国の発音を聞き、シャドーイングを行うのが有効。
自分で発音できれば聞き取れるようになるからです。
さらに精度を上げるには、音声を聞いて書き取る練習(ディクテーション)を行いましょう。
テスト1か月前からリスニング用の耳をつくる
試験本番の1か月前から公式問題集付属CDの音声を倍速で聞いておくことも効果的です。
人の耳には、2倍速で再生した音声を聞くと、その後聞いた通常の速さの音声もゆっくり聞こえるという性質があります。
2倍速で話される英語に耳を慣らしておけば、TOEIC本番の音声を聞き取りやすくなり、スコアアップに貢献するでしょう。
公式問題集の音声は専用サイトからもダウンロードできますので、スマホの倍速再生対応アプリで聞くこともできます。
もし公式問題集の音声で物足りないなら、TED Talkや英語圏で制作された映画・ドラマで耳を鍛えるのも良いでしょう。
NetflixやDVD/BDなら英語字幕もあり、ディクテーションにも便利です。
リーディングPart 7はスキミング・スキャニングで攻略
900点超えを狙うなら、リーディングのPart 5〜Part 7前半はほぼ全問正解を目指します。
Part 7後半は、スキミングとスキャニングで効率的に解答しましょう。
スキミングとは、文章を斜め読みして「大体どんなことが書かれているのか」を把握するスキル。
スキャニングは、文章の中から目的の情報を探し出すスキルのことです。
とにかく制限時間内に全問を解ききることが絶対条件です。
スキミングがどのようなものかは、公式問題集の解答・解説でPart 7後半の和訳を使って体感することができます。
まずは問題文の和訳を素早く読んでみましょう。
細かい数字は放っておいて構いません。日本語ネイティブなら1〜2分で大体の内容が分かる人が多いのではないでしょうか。
次に、スキャニングを体感するには、今読んだ日本語の問題文についている設問の和訳を見て、日本語の選択肢を選んでみましょう。
この時、問題文の全てを読み直すことはせず、「大体この辺に情報があったはず」と目星をつけて一部分だけ読み直す人が多いはずです。
スキミングとスキャニングを英文でも使えるようにするのが、900点以上をとるコツです。
スキミングとスキャニングでは、次の点に注目します。
- 固有名詞に注目する
- 数字に注目する
- 文書のタイトルやメールの件名を見る
- 文書やメールの目的を読み取る
公式問題集のPart 7後半で練習するとともに、日頃から英語のウェブサイトを見て情報を拾い読みする練習もしておきましょう。
体調管理も忘れずに!
見逃されがちですが、TOEICで高スコアを取るには体調管理も重要です。
2時間で200問を解ききる集中力と持久力を保つには、心身ともにコンディションが良くなければなりません。
テスト前日は詰め込み学習などせず、バランスのとれた食事を適度にとってゆっくり眠りましょう。
まとめ
TOEIC L&Rの勉強法と攻略法はレベルによって異なります。
まとめると、以下のようになります。
- 目標600点レベル
- 中学英語を固める
- 簡単なリスニング問題で耳を英語に慣らす
- 目標700点レベル
- 高校英語を勉強する
- シャドーイングする
- 速読力強化
- 目標800点レベル
- 高校英文法をクリアする
- リスニングで先取り戦法
- 速読力強化
- 目標900点レベル
- 出題パターンの把握と訛りの克服
- シャドーイングやディテーションする
- スキミングとスキャニングでPart 7後半を攻略
- 体調管理に気をつける
自分のレベルに必要な教材と勉強法で、効率的なスコアアップを目指しましょう。