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高校から10年間アメリカの各地で生活してきた私がお送りする、「アメリカのリアルな生活事情」のコラム。第三回は実際に生活してみてわかった実際のアメリカの「職」をめぐる環境はどうなっているのか、ご紹介しましょう。
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<目次>
職探しは、直接企業にアタックします
狙った企業に履歴書を送るのが第一歩
アメリカでの職探しの第一歩は、まず「ここで働きたい!」という企業に自分の履歴書を送るところから始まります。募集広告を見て送る場合もありますし、その企業が好きで、どうしても働きたいから「空きはありませんか?」と聞きがてら、とにかく履歴書を送ってしまう場合もあります。
日本のように、企業が一斉に新卒採用を始める、というようなことがほぼないアメリカでは、「履歴書を送る」というのは転職者でも新卒者でも一緒。就職エージェントやヘッドハンターも存在し、そのサービスを利用する人たちも一部にはいますが、ほとんどは直接企業に履歴書を送っているようです。
履歴書を送る際、履歴書と同じくらい(もしくはもっと?)重視されるのは、「カバーレター」と呼ばれる挨拶状です。これは単なる「送付状」ではなく、経歴のハイライトや、「なぜ御社は私を雇うべきなのか?」を美しい文章で簡潔にまとめてあるもので、企業の採用担当者も重視しています。
カバーレターにアピールを感じなければ履歴書まで目を通してもらえないとまで言われ、大学の就職セミナーなどでは履歴書とあわせてカバーレターの書き方も指導されます。アピール合戦は履歴書以前に始まっているわけです。
求められるのはゼネラリストよりもエキスパート
ほとんどのアメリカの企業は通年採用をしており、決まった季節に多くの社員が入社してくるということはあまりありません。ですので、「同期」という考え方も存在せず、新人研修もありません。
またアメリカの企業には、日本企業のように「仕事をイチから教える」という考え方がそもそもありません。採用を決めた社員には、当該の職種や企業の業種自体についての専門知識が求められ、「即戦力」となることが期待されているのです。ですから履歴書を見るときも、どんな職務経験があるかを重視します。
じゃあ新卒の学生はどうするの?と疑問に思われるでしょう。アメリカの学生がインターンシップやボランティアに積極的なのは、ここに理由の一つがあるのです。こうした活動をすることで、彼らは履歴書に載せることができる「職務経験」の機会を得ているのです。
徹底した成果主義から生まれる、自由な働き方
実際の職場では、どんな職種でも成果を出すことが非常にシビアに求められます。面接時や、実際の入社後に合意したJob Description(職務内容と出すべき成果の規定)に沿ってきちんと果たすべき成果がでているか、常にチェックされています。
こう書くとちょっと恐ろしい感じがしますね・・・。でも裏返せば、成果がきちんと出せていれば、そのプロセスについては問われないということでもあるのです。
プロセスが全く問われないかと言うと、そんなこともありませんが、この考え方が働き方の自由度を上げてくれるのは確かです。
例えば、成果がきちんと出て、働く本人にとってその方が仕事がはかどるなら、オフィス以外で仕事をしてもいいといった場所の自由もあります。また、会社勤めなら午前9時から午後5時が通常の定時ですが、家族や通勤上の理由で不都合であれば、働く時間を自分で決めてもいいといった時間の自由もあります。
また、必要があれば階層を飛ばして報告体系を作ったり、特定のプロジェクトの間だけ特別な権限を付与したり、ということもあります。
もちろんアメリカの職場も、社内政治や派閥と無縁なわけではなく、成果を出すためのプロセスにケチがつく場合もあります。けれど、私の見て来た職場ではいずれも「成果」に一番高い優先順位が置かれ、働き方には寛容であるという印象を持ちました。
まとめ
どうでしょう?日本とアメリカの就職・職場事情、かなり違う印象だったでしょうか?
近年ではアメリカ型の就職活動、働き方が取り入れられているようですが、日本の職慣行にも良いところはたくさんあります。それらを活かしつつ、うまくアメリカ式も取り入れて行かれると良いですね。